今日も思い出す

bousisensei2006-04-20


こジャレたCDショップの試聴機に「ジャック・ジョンソン」の新譜が入っていた、他のラインナップとはちょっと外れた感じで「珍しいなぁ」と。
気になるじゃないか。
大型のショップと違って、店の好みで商品をセレクトしているような店はたいてい「オシャレ系」の「ケッ!」ってなところか、極端に「マニアック」かどちらかだと思うんだけど、今回入った店は「あきらかに前者」
土方が喰う「ぶっかけ飯」の量を減らしてきれいに盛り付けただけの素人料理を「カフェ飯」などと崇め奉る「オシャレさん御用達」のようなショップに、なぜ「ジャック・ジョンソン」?
あ、ここを読んでいる大半の人は「ジャック・ジョンソン」と聞くと「マイルス・デイビスの…」と思うかもしれないけど、今回の「ジョンソンさん」は「サーフミュージック界のカリスマ」の「ジョンソンさん」の話です。
「なにかオシャレな事でも始めたのか?」とさっそく試聴してみると、相変わらずのギター弾き語りで、まぁ「シャレてるといえば…」「カフェ的ににこういうのもありか…いや、どうよ?」ってな内容。もちろんカッコいいんですけどね。ここにならんでる理由がよくわからない。
で、よーく見てみたら、なんと映画「おさるのジョージ/キュリアス・ジョージ」サウンドトラックと…なるほどそういうことでしたか。


本題はここから。そのサントラでジョンソンさんはギター弾き語りで「マジックナンバー」という曲をやっているんだけど、実に飄々としていてカッコイイ!この「マジックナンバー」は今も活躍するベテランラップグループ「デ・ラ・ソウル」もカバーしていた曲。
この「マジックナンバー」が収録された1stアルバム「3フィートハイ・アンド・ライジング」は俺の「人生ベストアルバム10」に入るほどのお気に入りなのだ。まちがいなく音楽をやる上でものすごく影響を受けた一枚のひとつ。
当時ヒップホップといえばマッチョで金ピカで、バックトラックにしてもエアロスミスを起用したランDMCなど「ハードさ」を売りにしているグループやアフリカバンバータのようなデジタルピコピコ系のトラックに乗せて叫ぶようなラップが主流だった中、ジョンソンさんのカバーがそうであるように実に「飄々と」表れたのが「デ・ラ・ソウル」だった。
少し遅れて出てきた「ア・トライブ・コールド・クエスト」などとニュースクールの一派として、それまでのヒップホップには無かった古いジャズやソウルなどをネタにしたバックトラック作りは実に新鮮で「財布を無くした話」のようなどうでもいい内容を淡々と、歌うようにラップしてるのが実に気持ちよかった。
特にこの「3フィート〜」でプロデューサーを勤めるプリンスポールの音作りは秀逸で、彼の「ステッツァソニック」名義のどのアルバムよりいいと思う。
ラップ自体、とくに今のJ−POPなんかで「ラップ」と言われているものにはあまり興味がないけど、ヒップホップのスタイルや構造は今でも曲を作る時にかなり参考にしている。
俺の中でヒップホップの金字塔というべき、このアルバムはいつ聞いても「古さ」を感じさせない。それはおそらく「その時流行っていた物」を取り入れた音作りじゃないからだと思う。そういったなかなか出来るようで出来ない事を「これでもか」と詰め込んだ感のあるこのアルバムはいつ聞いてもスゴイ。
そしていつか「イレズミ」を入れる事があったとしたら、このジャケットのような「花」を入れたいとずーっと思っている。