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bousisensei2008-09-18


ココでたびたび登場する「照喜名俊典」ってちょっと変わった名前の男。
彼は現在名古屋を拠点に活動してるので、ココを読んでる7割以上の人は「誰?」だと思うのですが、とりあえず「ココ読者」に一番わかりやすく言うと、我が「鬼頭哲ブラスバンド」の花形プレイヤーなのであります。
あ、楽器はユーフォニアムです(これが「何?」って人は自分で調べて下さい。そこまで紹介する気はないんで!)
もちろん、もっと立派な経歴があって、日本の音楽大学を卒業した後、アメリカのノーステキサス大学院でジャズを専攻。在学中の2004年夏にハンガリーで行われたジャスコンクールで優勝して「鼻高々で」帰国した後は、演奏活動のほか作曲・編曲や後進の指導に忙しく活躍してるのです。
そんな、俺とは経歴も含めて随分違う彼なんだけど、楽器を演奏する意味や音楽を届ける「着地点」みたいなものに似た部分を感じて、親近感が持てる数少ない音楽家であり友人でもあるのです。
その照喜名君が今月の頭に2週間ほど渡米して、自身のリーダーアルバムを録音してきたのですね。
実に期待してしまうじゃないですか!
で、その試聴版を聴かせてもらったのです。
まだマスタリングも済んでいない、ホヤホヤの状態なんで、こちらも新鮮な感想を。
元々「持論」として「その人にしか出来ない音楽」だとか、曲や録音物であれば「その場所でしか生まれ得なかった音楽」というモノにしか価値が無いと思っているのです、俺は。
今回、彼がわざわざ渡米してレコーディングに選んだ場所やミュージシャンは留学していたエリアや当時の仲間を中心としたメンバーみたいなんだけど、留学中に得た物がどれだけ彼の音楽形成に影響しているのか?ってのが良くわかるような気がします。(気がします、と書いたのはホントの所はわからないからね)
ただ、普通日本のミュージシャンが「海外レコーディング」なんていうと、名の通ったスタジオで有名ミュージシャンと共演ってのが当たり前だけど、それをしない。かといって現在名古屋でレギュラーで活動してるメンバーと録音するわけでもない、というところから推測ができるのです。
そして「留学中に得た物」って書いたけど、それは学校で勉強した事に留まらず、日常の生活から得る物が多かった事も伺えます。
彼のホームページにはボロボロの車で砂漠をドライブした話や、川下りをしたりナマズと格闘したりといった、おおよそ音楽家らしからぬアウトドアなエピソードがたくさん散りばめられているのですが、音を聴いて見ると「なるほど」と納得できる部分が非常に多いのです。
今回の渡米中もマメにブログを更新していて、旧交を温めたり久しぶりの「テキサス飯」にウンザリしたりといった「ほとんど遊んでばかり」の事を書いていましたが・・・
それが大切なのです!
強行スケジュールで日本からスタジオに直行して、何日もカンヅメになってとんぼ返りで戻ってくる、といった録音では「彼らしさ」は出ないんだと思います。
実際、録音してきた音源を聴いてみると実に情景が浮かんできます。
でも、それは単純にテキサスやダラスの風景を紹介しているのではなく、彼の目線で見る、通っていた学校の練習室や食堂、住んでいたアパートや遊んでいた仲間といった、本来なら他人には全くわからないはずの「情景」なのです。
実に不思議。
聴く人にとって共通ではないんだけど、似たようなイメージを思い起こさせるキーワードが音楽にある。
これはたぶん「夕方」という「お題」があって、たとえば「夕焼け小焼け」って日本人が誰でも知ってる曲を聴いた場合、ほとんどの人は「山があって、小川が流れていて、とんぼが飛んでいて・・・」っていう日本の典型的な「田舎の風景」みたいな物を思い浮かべると思うのです。
でも、これはインチキだと思います。正確な意味での「音楽→イメージ」ではない。
ところがドボルザークの「新世界より」の第2楽章を聴いた人に「さて、お題はなんでしょう?」って逆の質問をしたら、大半の人が「夕方!」と答えると思います。それぞれが学校からの帰り道や、買物客で賑わう駅前商店街を思い浮かべて。
本当の「情景が浮かぶ音楽」ってのはコッチでしょう。
そして、彼の録音してきた音楽もコッチです。
あ、それから「持論」をもうひとつ。
「豊かな経験と良い想い出がある音楽家の音楽は良い」
これも今回実証されました。
発売はちょっと先になりそうだけど、みんな楽しみに待ちましょう。

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(今日はアルバムのセールスに多少なりとも貢献したくて「ホメ版」を掲載しました。「苦言版」が読みたい人はメッセージもしくはメールを下さい)