音楽家の気位

bousisensei2008-11-15


基本的に「音楽家」という看板をぶら下げてる人は「自分が世界一」だと思ってる人が多い。
9分9厘そうだと言っても過言ではない。
謙虚そうに見える人でさえ、心の中ではそう思ってる。
もちろん、他人を尊重する事は忘れないし、ちゃんと人がやってる事も認めている。
それでも「俺が一番おもしろい」と思っている。
これは「なぜか?」というと、スポーツのように明確な記録や数字で順位を争うものでは無いからですね。
たとえば山岳界において、富士山が「俺は世界で一番高い」と言っても、それはタダのウソだ。
音楽にも優劣をつける為のコンクールなんてものはあるけど、その基準は誰にでもわかる数字で表せるものではない審査員の主観に基づいた実に曖昧なものだし。
それに、全ての音楽家がそこに出場しているわけでは無いから、たとえ優勝したとしてもホントの意味で誰もが納得する「ナンバーワン」とは言いがたい。
「ミリオンセラー」なんて基準もないではないけど、音楽の良し悪しの本質とは関係ないし、そんな世界をハナから視野に入れていないスバラシイ音楽家は山のようにいるし。
前にも書いたけど音楽において「世界一」はたくさん居ても良いし、みんながそれぐらい思っていなければいけないんだと思う。
気後れして隅っこの方でコッソリなんてヤツは死んでしまえ。
仮に自分より優れている、と思う人と一緒になったとしても、そういった時こそ、堂々と全力で行かなければ失礼というものだ。
ようは、人一倍「自信家であれ」という事。
そして、それを裏付ける事をキチンとすれば良いという事。
と、まぁこれは音楽家の中での「常識」みたいなもの。
そうは言っても、実際「自分が一番」みたいな事をいざ口に出すと・・・特に一般の人はビックリするのではないか?
「なんてあつかましい・・・」と。
いや、なんでこんな事書いてるかっていうと、夜中のNHKで以前BSで放送された番組の再放送をやってて、知り合いの所属する「管弦楽団」が出てきたので「お!」と思って見ていたのです。
そしたら、やっぱり知り合いも出演していて「お〜!」と。
で、NHKのユルイ音楽バラエティーみたいな番組だったんですけど、ありがちな「いかにも予定調和」なインタビューのコーナーがあったんですね。「団員の実態にせまる!」って(想像できますよね?)
まちがいなく作家が書いた台本があって、リハーサルもやってみたいな。
「実は指揮者のことを怖いと思っている」とか、そんな事聞いて何がおもしろい?(逆ならおもしろいけど)みたいな質問があって、団員が手を挙げるという・・・
それでも、会場のジジババはそこそこ笑ってんですけどね。
で、「この中で実は自分が一番ウマイと思っている」という質問があって・・・
前から、楽団内での「役どころ」みたいな話を聞いていたので「たぶん・・・」と思っていたら、案の定!
知り合いが一人だけシュッと手を挙げて。
間髪を入れずに司会者が「ずいぶんとあつかましい人ですね〜」
ここで、場内ドッと笑い。
と、まぁここまでで台本的にはワンセットという事なんでしょうけど、司会者のひとことが無かったら、客席ドン引きだろうな〜
NHKのこの手の番組を見てる人に、こういった「冗談」は通じるのだろうか?
ウソでも信用してしまう「オレオレ詐欺」に最も引っ掛かりやすいタイプの人を対象に書かれた「笑い」の台本は、いち団員の本質をかなり歪めてお茶の間に届けてしまってはいないだろうか?
当然、見ている人は「ホントは全員自分が一番だと思ってる」なんて事は知らないからね。
「チューバの吉野さんにもう一度大きな拍手を!」じゃねぇよなぁ。
あ〜笑った!