「谷欠」ってナニ?

bousisensei2009-06-23

昨夜TVでやってたんで、見た人もいると思うんですが「小食の人は出世しない」という、ある人の持論。
まぁ、その人が言うには、ようするに人間が本能として持っている、食欲とか性欲とかっていう「欲」に対して消極的では、上を目指そうとしない、という事らしいんだけど。
「なるほど」と思う半面「ちょっと、違うんじゃ?」と思う部分も。
別に小食でも良いと思うのだ。
むやみやたらと大食いすることが良いとは思わない。それではタダ本能に任せてなにも考えていないとも言える。
大切なのは「欲」に対して、ちゃんと「こだわり」があるかどうか?という事ではないだろうか。
「腹がいっぱいになればなんでもいい」なんて人が出世するとも思えない。
人間誰しも「欲」があって当然で、それをいかに「思い描いた最良の満たし方ができるか」と考えて生きていくべきではないか?
「欲」は本能だから、そこに無意識で気付かず暮らしている人や「満たし方」の向上を願わない人には出世に限らず「より良い結果」というものは訪れないという事ではなかろうか。
それで、なんとなく「あ〜」と思ったんだけど・・・
一昨日の「インナービジョンズを買った」という日記を書いていたメンバーの話なんだけど、そこで
「歌詞もいいし音楽もいいしメロディーもいいし、ここちよい。」
と、感想を述べている。そして
「こまかく分析してかんじるものじゃないのだ。やっぱりいいねー。」
と、結んでいるんだけど・・・ 
もちろん「いいものはいい」だし「感性で受け止める」というのも、スゴクありだと思う。
でも、このアルバムって別にスティービーっていう大天才が「感性のオモムクまま自然に生みだしたもの」か?
絶対ちがうよね。
本人をはじめ、制作に関わったすべての人が「いかに売れるアルバムを作るか」って思ってやってるわけじゃないですか。
「大ヒット目指そう!」って。
それこそ、モーレツな「欲」
だから、歌詞やメロディーはもちろん、アレンジにしても曲の長さや順番にしても細部にまでこだわって、一分のスキもないという。
かといって、ゴテゴテしてるかっていうと、けっしてそんな事はなくて、一切無駄がなくてシンプルかつストレートに伝わるものがある。
相当な変化球だとしても。
それは、もう「聴いてる人を喜ばせたい」という純粋な気持ちというよりは「喜ばせるシステム」というのを熟知して、実践しているということだと思う。
そこまでやってるから、いいんじゃないか。

                            1. +

音楽に限らず、多くの人が関わって「制作」されるものには必ず根底に「欲」があると思う。
お客さんの前でニコニコしてるのも、仏頂面では、その「欲」が満たされないと思うから。
あまり気分の良い言い方ではないと思うけど、それを「臭いものにフタ」ではマズイんじゃないか。
ちゃんとそこに気付いて、その「欲」をいかに「より良く満たすか」を考える。
そうすれば、おのずと「いかに相手に喜んでもらうか」が見えてくる。
結局、自らの「欲」を満たすには、相手に満足してもらうという事が一番なんでしょうね。
まさしく、ギブがあってテイクがあるという。
ただし、無欲な「相手に喜んでもらおう」が先では、本末転倒な「自己満足」になりかねないということ。
「自己満足」ってようするに一方通行の「過剰な愛」だと思う。
ボランティアなどの「奉仕」で、たまに「マトハズレ」な事があるのって、そういう事でしょう。
やっぱね、そういった「サービスの基本」みたいな事が大ヒットしたアルバムから計り取れるのです。
その辺は「いちリスナー」ならまだしも、音楽やってるなら感じ取った上で多少分析してもいいんじゃない?と思うのよね。
これまで多くの人が「良い!」と言ってるものに、いまさら「いいねー」って感想で終わってたら「キミはアホですか」ってなもんで。
「なんで、みんな良いって言ってるの?」って、そこツッコまないと。
そういった事を習慣化するのって、いろんな場面でひとつの物事からより多くの事を感じ取ろうって(それも「欲」だと思うんだけど)多面的な捉え方を養うには持って来いだと思うし。
で、それを自分の様々な「制作活動」に活かす、と。
自分の「欲」を見極めて意識することが、最も「今やるべき事」の答えにつながると思うですね。
なんとな〜く、話の流れ的に「欲=金」みたいにも取れますけど、ホントに言いたいのは「欲=自分の一番やりたい事」ってことです。なんなら、今まで書いた「欲」を全部読み代えてみてください。
喜んでくれる人がいるからこそ、自分が一番やりたい事ができるという。その逆はないという。
一番やりたい事の為に「今やるべき事は?」とか。


今日書いた事は、この前発売された「サックス&ブラスマガジン」に掲載されたインタビューと内容的とかなり重複してるけど、あそこで言ってる「影響を受けたマンガ」の話の言葉足らずの部分の補足ということで。(ちなみにそのマンガはちばあきおさんの「がんばらなくっちゃ!」という作品です、短編集に収録されていると思うので強くオススメします)