デフォはデフォでも

座りたい

昨日は松ちゃんが名古屋から来ていて。楽屋で会うなり「今日、喜楽休みですよ!」と。
ガーン!ショック。
最近、渋谷で一番気に入った「なんか喰うところ」なんだよな〜(もちろんラーメンですが)
松ちゃんも楽しみにしてたらしく、ふたりで大いに落胆したのでありました。
で、サウンドチェックを終わって「楽器屋に行きたい」っつう松ちゃんを案内して、楽器屋のそばにある「渋谷で2番目に気に入ってる」立ち呑みの「富士屋本店」に行って。
「もうちょっとなんか喰いたいよね」って話になって(もちろんラーメンですが)
以前「ラーメン道場破り」って本の話を書きましたけど、松ちゃんに貸してて彼も読んでるんだけど、その中で著者である徳丸真人江口寿史両人が「ベタ褒め」してる店が近所にあることを思い出して「行ってみようか!」と。
とにかく、あの本「良くない!」と思った店は、他のラーメン本でどれだけ褒めてあってもケチョンケチョンに言うし、その分気に入った店の話は実に美味そうに、ホント「行ってみたいな〜」と思う書き方をしてるのです。
で、その渋谷のお店はラーメンはもちろんだけど具も何も入ってない「塩むすび」が最高ってしつこいほど書いてて、それが印象に残ってたんだな〜
というわけで、松ちゃんとものすごい期待して向かったのです。
本で地図をチラッと見ただけで「うろ覚え」だったんだけど、見事に迷わず到着して店の前で・・・んん〜?!
店構え的には俺なら絶対敬遠するようなタイプの店じゃないか!
それでも「あの本」の俺なりの信憑性で入ったのです。
一応「とんこつ九州ラーメン」ということはわかっていたんだけど、思ってた雰囲気と違うな〜
で、ノーマルの「ラーメン」が700円という結構強気の設定。さらに「この手の店」にありがちな「替え玉」は無いし、紅ショーガだとかゴマやにんにくといった卓上トッピングもない。
とにかく、一番普通の「ラーメン」と「オニギリ」を注文して、待つ事しばし・・・
結論から言ってしまうと、スゴイ美味しかったです。
とにかく「あの本」のふたりがいかにも好きそうな「キチンと仕事してる店」だってのはわかるし、そういった意味ではまったく評価として「ブレ」はないのです。
ただ、まぁなんというか・・・実に「普通に美味しい」
だから「そこまで言うほどかなぁ」と思っちゃったんだけど。
で、やっぱり思ったのは「あの本」の著者がふたりとも九州の出身だからなんだろうな〜ということ。
たぶん「本場」といわれる土地から来た人にとって、昔から食べてる一番「これこれ!」って思える味なんでしょうね。
実際、俺も九州で何度かラーメン食べてるけど、向こうで食べる「とんこつラーメン」って味はシッカリしてるけど意外とサッパリしてるんですよね。
で、名古屋にいた頃もそうだし、今東京で「替え玉2玉まで無料で1杯500円」なんて「博多ラーメン」を名乗る店に行ったりすると「全然違う!」と思うわけです。
でも、その「違う!」はあくまで「本場の味を後から知った」ことで感じた違いであって、子供の頃から慣れ親しんできた「とんこつラーメン」ってのは、やたらと脂っこくてしょっぱいだけでなんとなく味がボヤ〜っとしたラーメンだったわけです。
だから「これでもか!」っていうぐらい紅ショーガやらにんにくを入れて・・・九州のラーメンってのは「そうやって喰うもんだ」と思って育ってきたわけです。
麺の茹で具合もこっちの店ではことさら「バリ硬」とか「ハリガネ」で喰う事が「通」みたいに張り紙がしてあったりするんで、俺もやってみるんだけど「これ、美味しいか?」って正直思ってます。麺というか小麦のポテンシャルって意味では、ある程度茹でないと旨みが出ないと思うんですけどね。
で、ちゃんと九州に行って「別モンだ」ってことがわかって。やっぱり「本場は違うね、美味しいね」って「そこに行った時の楽しみ」みたいな味なわけです。
そういえば、麺の茹で具合だって向こうではいちいち注文つけてるお客さんも見たことなかったよな〜
自分のイメージや記憶にある味が「デフォルト」なのか「デフォルメ」なのか?という事でしょうか。
ようするにですね、その味を「なつかしい」と感じる人にとっては「渋谷で食べられるなんて!」ってウレシイんだろうけど、俺みたいな場合は「渋谷で食べられちゃうのか〜」とちょっとガッカリという。
たぶん、俺にとっては「名古屋メシ」なんて言われてる「あんかけスパ」とか「ひつまぶし」とかを「見よう見まね」で出してる店に東京で入って「こんなの邪道だ!」って怒ったり、逆に美味しい店に入ったら「これは美味い!」ってなるんだけど、他所の人には「どっちもピンとこない」っていう感じなんでしょうね「どっちも同じじゃないの?」って。
う〜ん、だからホント美味しかったんだけど、もう行かないと思う。あの味は年に何度も行けない本場に行った時の「楽しみ」にとっておきたいかなぁ〜
九州のラーメンが好きな人は絶対行ってみるといいと思いますけど。

※Web版「ラーメン道場やぶり」のリンク
http://www.kotobuki-studio.com/doujou/doujou.html
え〜っと、久しぶりに「この店の回」(第2回の渋谷「唐そば」編です)を読み返してみたら・・・なるほど、この店は「北九州ラーメン」だったわけですか。ホント、ひとくちに「とんこつラーメン」って言ってもカテゴリーが細かいなぁ〜
というわけで、大雑把に「九州のラーメン」なんて書き方をしてスイマセン。