bousisensei2006-03-29

ようやく終わったツアーを振り返る。

これは大阪からの移動の時、名古屋から合流した松ちゃんとも話していたことだけど、けっしてネガティブな意味合いでは無く「ひらきなおる」事も大切だ、と今回つくづく思った。

特に、東京中低域のような同じ楽器ばかりのメンバーと一緒にいたからこそ、気付かされた面も少なくないと思う。

例えば、東京芸大を出ている鈴木君、さらにその大学院を首席で卒業した東君。
超絶なテクニックの田中さんや強烈な個性の松本さん。

そういった人達にコンプレックスを持ったって、なんの意味も無い。
むしろ、同じ舞台に上がるならば「引け目」は失礼になると思う。

若い頃は「何でも出来るようになる」と思っていた。
でも、その努力を怠ってきてしまった。

今更、鈴木君や東君のように、田中さんや松本さんのようになることは無理だし、意味もないと思う。
ただし、いまひとつふっ切れない部分も今まであった。


このツアーで嬉しい事があった。
毎日日替わりで、水谷さんの「キミノコ」という曲をアンコールの時にソロで吹くという試みがあったのだけど、大阪でやった僕の演奏がとても好評だった。

譜面面はどうってことないメロディーだけど、いざ演奏するとなると、とても難しい曲で、初日の田中さんも二日目の松本さんも明らかに苦戦しているのがわかった。
三日目を担当する身として、ものすごいプレッシャーを感じた。
実際、アンコールで一人で出て行って演奏した時は何がなんだかわからないぐらい緊張した。
でも、曲が進むに連れてお客さんが引き込まれて来る感じが表情からもわかり、迷う事無く吹ききる事ができた。

終演後に「ソロ、良かったよ」と松本さんに声をかけられ、若い後関君にも「かっこよかったですよ」と言われた時は、心底ホッとした。
最終日のMCで、それぞれの日の演奏を振り返った水谷さんにも「メンバーがびっくりするぐらいの」「水晶のような」という形容で話しているのを聞いた時は、照れくさい反面涙が出るぐらい嬉しかった。

自分のやった事が誇りになったら、自信も湧いてくる。

日頃「器用な人」という印象を持っている人も多いみたいだけど、その真逆な「素直な」部分が評価されたのは嬉しいし、メンバーがびっくりしたのも、そこだろう。

東京中低域では普段パワフルなベースラインを求められる事が多いけど、

「丹精で素直な歌いまわし」

というのは、元々自分のブラスバンドで大切にしている事。
自分の日頃の活動が生かされ、評価された事も大きな自信になる。

けっしてネガティブじゃない所から生まれた「ひらきなおり」は「これしかできない」ではなくて「これだけは負けない」って自分自身を発見し、伸ばして行く為には必要なんだと思う。