俺もマスクをかぶりたい

bousisensei2008-04-07


ここでは「もや〜っとした書き方」をしていたんだけど、本人たち(あ、その友人か)の日記なんかにはハッキリと書いてあるんで、ぶっちゃけちゃいますけど、「チューバマンショー」のCDを作る事になって、そのプロデュースをする事になったのだ。
それで、先週名古屋に行っていたのですね。
で、まぁここを読んでいる人の半分以上、ほとんど大半は「チューバマンショー?なんじゃそりゃ」って人だと思うんですけど、チューバって大きな金管楽器ユーフォニアムってそれを一回り小さくした金管楽器の二人がプロレスなんかでかぶる「覆面」を付けて演奏するデュオのユニットです。
聞いたところで「なんじゃそりゃ?」だとは思うんだけど。
とにかく、古くからの友人という事でお手伝いをする事になったのです。
が。
やっぱり「プロデュース」という作業は「友人」という立場ではなかなかヤリ辛い物もありますな。
基本的に、人は友人などにアドバイスを求めたり、迷って「どうしよう?」と相談する時。無意識のうちに「肯定されたい」と思うものなんじゃなかろうか。
聞いてはいるものの「それは違う」とは言われたくない。自分が「こうだ」と実は思っていることの後押しをして欲しいとか。
「良い・悪い」ではなくて「そういうもの」なんじゃないのかなぁ。
ただ「そういうもんだ」で済むかっていうと「何の為の?」ってハナシだもんね。
とは言っても、アドバイスする側としても「友人として」では言い難い事ってあるもんで。
この前も、言葉を選んでソフトにソフトに・・・って、半分ぐらいしか話せなかったんですね。
それじゃイカンし、それも「何の為に?」だもんね。
考えてみると、今まで俺が出会った「プロデューサー」という人も「カンジ悪〜!」って人が多かった。
当然、上から目線。「やりあう」というより完全に「言い負かされる」
それこそ「敵」のように思ってたモンね。
そんで、しぶしぶ「言い分」を呑んで録音した作品も、出来上がったばかりの頃は、まだ頭にキテる部分もあってかピンと来ないんだけど、しばらく経って聴いてみると「お〜!」って。
「人のハナシは聞いてみるもんだ」って。
上から目線も「言い負かされる」のも立場や考え方のアサハカサからって事かって。
そういう事に納得できる「しばらく経ってから」っていうのは、自分で自分のやった事が「第三者的目線」で見れた時でもあるんじゃないかね。作品として冷静に「良い」と思えるってのは。
まぁ、いろいろあるんだけど、俺が思う「プロデューサーの仕事」のひとつに、たとえば彫刻家がいたとして。作家は一体の彫刻を作るにあたって、何日もかけてあらゆる方向から眺めながら完成させて行くんだと思うけど、そうやって出来上がった彫刻の「置き方を考える人」ってのがあるんですね。
ほとんどの作家は、自分が愛情を込めて作った物に対して「この角度から見て欲しい」というのがあまり無い。
ホントは無い訳ではない。むしろスゴクあるのだが、何日もあらゆる方向から眺めてるうちに「どこから見てくれても良いよー」と思えるようになるのだ。
自分の作品に愛着が湧くというのはそういう事だろう。
ただ、その彫刻を見る「お客さん」というのは何日もそれを眺めてくれる訳ではないし、じっくり見てもらうためには先ず足を止めてもらわなければいけないから「パッと見」のインパクトも必要だ。そうでなければ、せっかく愛情を込めて作家が作ったものであっても、素通りされてしまうことさえあるのではないかね?
なんつーか、作家は製作のプロセスも含めて作品に愛情を込めるから、必要以上に意味を持たせてしまうのかもしれませんね。ただ、それは一見のお客さんに伝わるはずも無く、作家との温度差は開くばかりだし、作家の「わかって欲しい気持ち」の量が「わかりにくい作品」の「わからなさ度」と確実に比例するんだと思います。たとえば簡単な肖像画よりも難解な抽象画により多くのメッセージが込められてる、みたいな。
だから「第三者的目線」から考える「見せ方」を演出するプロデューサーが必要なんじゃないでしょうか。話の流れで言うと作家の「わかって欲しい気持ち」を「伝えたい事」に変換する人。
作家が優劣付け難い愛情を込めた作品(それは見る人になんの関係もないんだけど)が何体もある場合は、その並べる順番も大切だろうし、置く場所も美術館でケースに入れた方が良いのか、無料の広場みたいな所の手で触れる事が出来る状態が良い場合もあるだろうし。
さらに、作家自身けっして手を抜いているわけでは無いのだけど「この部分はあまり見て欲しくないな」という角度から見るお客さんというのも必ずいるんですよね。じっくり見ていれば当然かもしれないし、パッと見でもそこに目が行く人はいるハズ。
そこを隠すようにするべきか、作家に言って手直しさせるべきか・・・
まぁ、ようするにプロデューサーって、作家が「言わなくてもわかるよな」って慢心してる所とか自分の作品に対する愛情ゆえにマヒしちゃった所に「言いたかないけどさぁ」っていう事を言う役目みたいな部分もあると思うんですよ。(モチロンそれはホンの一部分だけど)
で、謎の覆面プロデューサーだったら言いにくい事言うのもラクだろうなぁ、って。