オヤジが歌え

bousisensei2008-07-21


昨日は、同じ曲であっても歌う人が変わるとせっかくの名曲が「駄作」とまで思えるほどに印象が変わる。
みたいなハナシを書きましたが・・・
「そんな些細な事で」「大袈裟な」と思う人もいるかもしれないけど、今まで自分の身の回りで感じた事をいろいろ思い出してみてください。
比べる例は極端過ぎるかもしれないけど、あなたの大好きな曲を、悲惨なカラオケで聴いた時。
逆に、あなたが大嫌いな歌手の持ち歌を別の人が歌っているのを聴いて「意外と良い曲じゃん」と思ったり。
そういった事ってありませんか?
後は「大好きだ」と思って聴いていた曲を、スーパーのBGMみたいなインストで聴いてみたら「意外とつまらない曲じゃん」って・・・
この場合は「歌唱プラス曲」で、あなたにとっての「好きな曲」だったという事なんだと思います。
実際、ほとんど「この曲が好きだ」という場合は「この人が歌ってるこの曲が好き」というケースなんじゃないでしょうかね?
ただ、このインスト・バージョンを「意外とつまらない」に気付かない場合も多いのです。
それはなぜか?というと。
インスト・バージョンを聴いている人の頭の中で歌詞が聴こえているからじゃないでしょうか。
厳密に言うと聴こえているワケではありませんが、インスト・バージョンを聴いている人は歌詞や元々のバージョンをイメージしながら聴いている場合もあるんだと思います。
我々もライブの時にお客さんから「あの曲やってよ」とリクエストをされる事があったりするんですが
「いいのか?」
と思ってしまうんですね。
たとえば俺の場合、ビートルズの「イエスタデイ」という曲が好きだったとしても、それを目の前でやって欲しいとは思わないのです。(もちろん、本物のビートルズがやってくれるんなら話は別ですよ。)
つまり、昨日の話とも絡めると、俺の考えとしては例え同じ曲であっても、バージョンが違うってのは、もう全然別の曲だと思うのです。
だから、俺がサックスで「♪イェスタデ〜」と吹いてるのを聴いて(さらに「吹いてる」わけですから「♪プププ〜」なんですけど)それを聴いたイエスタデイという曲が好きな人は
「どこがおもしろいのか?」
「なんで満足できるのか?」
と思ってしまうのです。
まぁ、この場合は聴いてる人が「歌詞をイメージする」プラス、その曲にまつわる「思い出」みたいな事も頭に浮かべながら聴いてるって事なんでしょうけどね。
そこまで聴く側の「思い込み」の為の音楽だったら、何も俺がやる必要ないんじゃないかとも思うのです。
「俺の演奏するイエスタデイが好き」というなら、喜んでやりますよ。でも、絶対そんなワケないでしょ?
自分の「好きな曲」「聴きたい曲」をやってくれるから来てるだけでしょ?
もちろん「営業」とか「商売」としては「アリ」と割り切る事も出来るんですがね。
それを「音楽」と一緒にされるのは困るなぁ。(っていうの無いですか?照喜名君とか)
一応、常に「サービス精神」みたいな物は過剰に持っているつもりなんですけど、なんと言いますかサービスの「質」にも「硬・軟」2種類ありまして。
どんなリクエストにもジャンジャン応える商売人みたいな時もあるけど、自分の伝えたい事を丁寧に表現するサービスもあるのです。
そういう時にリクエストなんかされると「そんなに知ってる曲が聴きたいか?」とカチンと来る場合もあるのです。
うお〜!「後は」なんて始めたら話が全然違う方向に来てしまったではないか。
で、同じ曲であっても歌う人が変わるとせっかくの名曲が「駄作」とまで思えるほどに印象が変わる、にようやく戻るんだけど、なぜか現場でコレが行われる場合が時々あるのです。
たとえば、鬼頭ブラスでも俺が曲を持って行って、全員で吹く必要のない場所をパート内で相談して振り分けてもらったりするのですね。
で、音を出してみると「え〜っ?」って事がある。
いくら「上手い=おもしろくない派」といっても「そりゃないだろう」と。
「ソロ」というほど目立ってピックアップされる場所でないとしても「その人がベストですか?」と聞きたくなる人選。
ましてや・・・って場所。とにかく一番「表現力の豊かな人」がやるべきでしょ?って部分を「大丈夫かなぁ?」という人に振ってたり。
なぜかクラシック畑に、こういう事する人多いんですよね。
師弟関係とか先輩後輩の愛情とかシゴキみたいな世界から来てるんですかね?
でも、曲持って行ってる側としては「え〜」って思うのです。
あきらかに優れている後輩というのであれば、先輩であることを理由にオイシイ場所を取るってのは良くないですけどね、そうでない場合に「譲る」ってのは「音楽のヨシアシ」に全く関係無いワケですから。
で、意外とポップス畑の人はそういう事しないのです。
「しんどいわ〜」と言いつつも全部自分でやる。
「オイシイ所総取り」と言っても、それなりにリスクは背負ってるし、なによりも「そうした方が音楽が良くなる」と思っての事。
う〜ん、まぁどっちが良いとか悪いでは無いんですけどね。
なんだかんだで結果オーライだったりするし。
こっちが勝手に「この人じゃなきゃ」って思ってただけって場合もあって。
まぁ、そうなると次回からはわざわざその人呼ばなくて良いかな、なんて思ったりもするんだけど。(たぶんポップス畑の人はそれを恐れてって事でしょうね)
結局の所、誰がやるにせよ「聴く人」とは一期一会なんだって事を忘れない事。
だから「これがベストだ!」って最高のモテナシをする事を考えてれば、なんでも良いです。