俺のサックスを

bousisensei2008-02-20


珍しく、普段あえて「なるべく見ないようにしている」映画を見ました。それも「人のセックスを笑うな」って、今ちょっと話題になってる映画と、これまた俺的には珍しい出来事。
とはいっても、ちゃんと映画館に行った訳ではなくて(そこまでやってたら「珍しい」通り越して「奇跡」だ)ウチの人がこの作品のパンフレットの仕事をしたので、原稿書くために見る用のサンプルDVDってのがあったのだ(ホントはこういう事を書いてはいけない)
それも随分前から。
それを「今日まで見なかった」ってトコが十分「俺的」か。
で、こう言っちゃあ失礼だけど、ウチの人に話が回ってくるぐらいだからマイナーな「知る人ぞ知る」みたいな映画かと思っていたら、出演してる俳優さんは結構有名な人ばかりみたいだし、テレビでバンバンCMやってるのにちょっと驚いてしまった。
で、見たんですけど、思っていた以上に「想像していた通り」の映画、悪い意味じゃなくてね。
というのも、DVDと一緒にサントラのサンプルも送られていて、それは以前聴かせてもらっていたのだ(ホントはこういう事も書いてはいけない)
で、その音楽から物語の世界観や描かれている風景とか役者の年齢層やセリフ回しやらテンポやらってのを想像しながら「こんな感じの映画かなぁー?」って聴いたんだけど、ビックリするぐらい「その通り」だった。
たとえばサントラを聴きながら、自転車が走っていて、それはちょっと田舎で・・・とかスクリーンに映し出された景色を想像していたらその通りだったりとか、俺の中で勝手に「朝ラジオ」って名前になってた曲がホントにそういう使われ方してたり。主人公達の会話の雰囲気は、もう「まんま」音楽のテンポ感と一緒。
だから、すごく映画にピッタリのサントラとも言えるわけだね。(サントラを担当しているハカセさんはフィッシュマンズの頃からのバックボーンを含めた聴き方をしてしまって、そこに流れている音以外のキーワードもリンクしてイメージされるものがあるってのも多少あるかもしれないけれど)
おそらく、ものすごく自然で「芝居じゃないんじゃない?」と思えるほどの会話部分の演技なんかにもオッソロシイほど演出が施されているんだと思うけど(その辺はこの前芝居の仕事の時「こんなところまで?!」と、すごく勉強になったのだ)それと同じような演出というか注文が音楽にもされてるんじゃないだろうか。
じゃなければ、元々監督がこの音楽家が好きで、そこから演出のイメージを起こしていったか。
細かい内容の事は書かないけど、音楽に限らず、セリフなどのあらゆる音や無音の部分も含めて、とにかく耳に心地良い映画でしたね。
おもしろかった。
それより、この手の物語というか設定の映画や本をみたりすると、必ず「猛烈な後悔」に見舞われるのですね。
「やっぱ大学行っときゃ良かったかな〜」と。
もちろん、何かを学ぶためなら今からでも学校には行けるんだけどね、そういう事じゃなくて。
今日見た映画は、郊外の美大が舞台になってるんだけど、似たような学校に「渋さ」なんかで学祭に呼ばれて行くことが結構あるんですね。
で、その場の「空気感」みたいなものを実際体験する事は出来ても共有する事はできないんだなぁ。
で、こればっかりはホント今さらどうしようもない事で、20歳ぐらいの頃に経験しておくべき「ものすごく大切な事」を俺は通らずに来てしまったんだなぁ、とガッカリするのですね。
で、それは何かっていうと「同世代の人とたくさん遊ぶ」って事なんだと思います。
さほど「気が合う」という程でも無いのに、単に「同世代」というカテゴリーだけで人と付き合うのって、学生時代までの事じゃないだろうか?社会に出ればそれこそあらゆる年齢層の人と、共通の趣味を通じたりしながら付き合って行く事になるんだと思う。それが仕事だったりもするだろうし。
で、まぁ誰もがいずれはそういう風になるのだとすれば、若い時にしかできない事ってのはやっておくべきだったんだろうな。同世代の仲間達との「たわいもない毎日」ってのを。
という事に、最近気付いたんで、俺も「同世代の人とたくさん遊ぶか!」と思ったんだけど。
今の俺に世間で言う「普通の」40歳ぐらいの人と遊ぶ事ができるだろうか。
趣味も考え方も全然違う人と時間を過ごす事を、この年になると「無駄」と思えてくるのだ。
で、俺はそういう考え方を若い頃からしていたので「大学なんて行かなくても」と思ったんだろう。
でも、それは違うよな。
だから、今俺が作る音楽に「日常」って「たわいのない毎日」というテーマが出てくるのは、自分が経験できなかった事に対する憧れなのかも知れんなぁ。